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2010/01/15
「欧明社」社長インタビュー【特別企画】
仏語学習者の味方として60余年
2010年注目の本は? と尋ねると、没後50年を迎えるアルベール・カミュ関連が来そうという答え。今年、フランスでは多くの雑誌などで特集が組まれる予定のようだ。
答えてくれたのは、フランス語書籍専門店「欧明社」本店のスタッフ。「欧明社」は、1947年の創業以来、フランス語学習者や在日フランス人をサポートし続けて来た老舗の書店だ。今回は同店の2代目社長、奥山由紀夫氏(左写真)に60年余りの足跡を聞いた。
「父の奥山朝廣が学生のとき、鈴木信太郎氏ら東大仏文科の先生方に勧められて開業したのがこの店の始まりです。戦後間もない頃で、外国の書籍を手に入れるのは難しかったため、そんな専門書店があってもいいんじゃないかと。当時は先生方の本をコピーしたものや、古本なども売っていました。作家の川端康成も常連だったんですよ。しかし、私が大学生のときに父が急逝、長男の私が突然店を継ぐことになったんです」
それまでは特にフランス語の勉強もしていなかったという奥山社長。最初は苦労したようだ。
「語学学校に通ったり、ラジオのフランス語講座を聞いたり。でも、語学の道は遠くて、フランス語から逃げるような時期もありました。やがて、年に1回、パリに行くようになってから、もっとフランスを理解したい、フランス人と話したい、と思うようになって、いつの間にかフランス語も、書店の仕事も好きになっていましたね。そうすると、こういう本を仕入れたいとか、いろいろな発想も広がっていったんです」
今では現地に30年来の友人も居り、年に一度のフランス視察がとても楽しみなのだとか。本を売るだけでなく、フランス語やフランス文化を広める役割を担っていきたいと社長は語る。では、書籍を買う側に変化は見られるのだろうか。
「例えば60年代は、サルトルやボードレールの作品がもてはやされ、フランス文学論争なども熱かったですね。今思うと懐かしい。現在では仏文学よりも、実用的なフランス語が求められるようになったと思います。うちの一番の売れ筋もテキストですし(笑)。でも、ここ10年、フランス語学習者は減っていますね。フランスでも英語が通じるようになったし、第二外国語としては中国語の方が人気。でも、うちはそんな社会の流れの隙間をついて、細く永くやっていきたいですね」
新年の目標に読書を掲げる人は、ぜひ欧明社に足を運んでみては。親切な店員さん達が、本選びの相談にも乗ってくれるはず。
取材/ 小高一絵
【ショップ情報】
欧明社本店
東京都千代田区富士見2-3-4
JR・地下鉄 飯田橋駅下車 徒歩3分
http://www.omeisha.com